日本消化器内視鏡学会甲信越支部

10.胃病変を伴った消化管濾胞性リンパ腫の1例

佐久総合病院 胃腸科
荻原真之、堀田欣一、小山恒男、宮田佳典、友利彰寿、高橋亜紀子、北村陽子

【症例】70代、女性。スクリーニング目的の上部消化管内視鏡にて、十二指腸下行脚に白色顆粒集簇を認め、濾胞性リンパ腫を疑い生検を行った。また、胃角部小弯に境界不明瞭な易出血性の平坦病変を認め、MALTリンパ腫を疑い生検を行った。両部位ともHE染色では粘膜固有層に濾胞形成を呈する一部大型リンパ球が混在した中型の異型リンパ球の増殖を認め、免疫染色ではCD3−、CD5−、CD10+、CD20+でありfollicular lymphoma(Grade2)と診断した。また、ダブルバルーン内視鏡では空腸、回腸に大小不同の白色顆粒集簇、結節を認め、生検にてfollicular lymphomaと診断した。腹部CTでは小腸間膜に多発性リンパ節腫大を認めた。また骨髄浸潤を認めLugano国際分類StageIVと診断した。リツキシマブ併用化学療法にて加療中である。【考察】当院、吉永等の集計によると消化管濾胞性リンパ腫83例のうち胃病変は1例(1.2%)とまれであった(Gastroenterol Endosc 2008; 50: 2676-83)。本例の胃病変の肉眼像は十二指腸、小腸と異なり内視鏡的にMALTリンパ腫との鑑別を要したが、生検にて確定診断可能であった。