日本消化器内視鏡学会甲信越支部

8.ESDにおける二酸化炭素送気の安全性の検討

新潟大学医歯学総合病院 消化器内科
高野明人、小林正明、橋本 哲、竹内 学、佐藤祐一、青柳 豊
新潟大学医歯学総合病院 光学医療診療部
成澤林太郎

 近年、大腸ESDにおいて、腹部膨満軽減を目的とした二酸化炭素(CO2)送気の有用性が報告されている。さらに、胃・食道ESDにおいても、穿孔、縦隔気腫対策としてCO2送気が積極的に使用されている。しかし、高齢者など、呼吸機能低下を潜在的に有する可能性がある患者に対しても、呼吸機能の評価を行わずCO2送気が使用される傾向にある。今回、ESD時のCO2送気の安全性を検討するため、当院倫理委員会の承認のもと、経皮CO2分圧測定器を用いて検討を行った。対象は、大腸ESD18例(男性16例、平均69歳)と胃・食道ESD20例(男性16例、平均74歳)。CO2平均使用時間は、大腸160分、胃・食道91分。大腸はconsciousness sedation、胃・食道はdeep sedationを行った。平均CO2濃度は大腸41.1±3.3%、胃・食道46.6±5.0%で差を認めなかったが、平均CO2濃度50%以上は胃・食道のみに4例(56−79歳男性)認め、動脈血CO2、呼吸機能検査は正常で、術中の鎮静剤使用が多かった。今回の対象症例はすべて、術後経過に問題なかったが、今後症例を重ね、CO2濃度上昇を来たす危険因子を明らかにしたい。