日本消化器内視鏡学会甲信越支部

7.改良型手製マルチベンディングスコープの有用性

松本協立病院
芹澤昌史、田代興一、富田明彦

【背景】胃のESDを施行するにあたり、しばしば近接困難な病変に遭遇する。そして剥離などの治療が進むにつれさらに近づき難くなることをよく経験する。この状況は切除困難の大きな原因となりうる。【目的】マルチベンディングスコープを使用することが最も効果的な対策であるが、当院のように年間のESD件数がさほど多くない病院では、昨今の経営状況からこのために特殊なscopeを購入することは大変難しい。このため2007年秋のDDWにて市立豊中病院より発表になった手製のマルチベンディングスコープを当院でも作成して使用してみることとした。発表されていたものをさらに改良して作成できたため報告する。【内容】発表のとおりにたこ糸でscopeを牽引する方法を試したが、scopeを糸で固定することが困難で、牽引も安定せず緩みやすかった。このためオリンパスの針状ナイフ(KD-IL-1)のナイフの部分を切除し、ステンレスのワイヤーを用いscopeを牽引してみると上記の問題を克服でき、実際のESDの際も近接可能であり、操作の邪魔にもならなかった。【結論】有効に使用できる条件は限られるが、胃角、体下部などの病変に対しては非常に有用であった。