40歳代女性。2003年8月、子宮頸癌(stage Ib)に対し、広汎子宮全摘術+化学放射線療法(45Gy)施行。2004年2月、傍大動脈リンパ節再発に対し、放射線療法(55.6Gy)追加。2006年5月、近医にてEGDを施行し、放射線胃炎と診断され、PPIの内服が開始された。2007年5月、穹隆部隆起性病変4個の生検よりtub1と診断され当科紹介受診。当科での内視鏡再検では、前庭部、体部および穹隆部にも白色扁平隆起を5個認め、生検にてtub1(低異型度)の診断であったが、内視鏡および組織学的に炎症に伴う再生性変化との鑑別が困難であった。子宮頸癌の予後が不明であったため、診断目的で比較的境界明瞭な体下部前壁の扁平隆起病変に対し、ESDを施行した。病理組織診断は、高分化型粘膜内癌だが、水平断端が不明瞭で、周囲の介在部からの生検でもGroup IV〜Vの診断であったため、内視鏡治療困難と判断し、2008年8月腹腔鏡補助下胃全摘術を施行した。病変は多発する高分化型粘膜内癌で、一部に扁平上皮化生を認め、放射線誘発の多発胃癌の可能性が示唆された。,