日本消化器内視鏡学会甲信越支部

4. 食道pyogenic granulomaの1例

山梨県立中央病院 消化器内科
浅川幸子、鈴木洋司、津久井雄也、吉田貴史、細田健司、小嶋裕一郎、廣瀬雄一、望月 仁、小俣政男
山梨県立中央病院 外科
須貝英光
山梨県立中央病院 病理
小山敏雄

 症例は61歳男性。2008年7月頃より、嚥下時のつかえ感を主訴に近医受診。上部消化管内視鏡検査にて食道に隆起性病変を認め、食道癌の疑いで当院外科に紹介となった。9月の上部消化管造影検査では胸部中部食道に約15 mm大の隆起性病変を認め、上部内視鏡検査では切歯29-32 cmに白苔の付着を伴う壊死傾向の強い性状を呈していた。超音波内視鏡検査では第III層は保たれ、粘膜内病変と考えられた。初回内視鏡検査時の生検では壊死組織であった。初回より14日後の内視鏡検査では、白苔が脱落し、発赤調の粘膜面を認め、同部の生検で毛細血管の拡張・増生がありpyogenic granuloma(以下PG)が疑われた。当科にて内視鏡的切除術を施行した。切除病変は扁平上皮下の粘膜固有層内に、毛細血管の増生を認め、PGと診断した。その後再発は認めていない。PGは皮膚科、口腔外科領域で好発し、それ以外の消化管発生は稀であるとされる。PGは易出血性で、急速増大することがあるため、良性病変であるが内視鏡的切除を施行すべき病変と考えられている。食道に発生し,短期間で形態が変化し、内視鏡的に切除し得たpyogenic granulomaの1例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。