日本消化器内視鏡学会甲信越支部

3.通常内視鏡およびNBI内視鏡にて5mm大の微小Barrett食道癌を正診し得た同時多発Barrett食道微小癌の1例

長野厚生連 佐久総合病院
城向 賢、北村陽子、小山恒男、宮田佳典、友利彰寿、堀田欣一、高橋亜紀子、草場亜矢子

【症例】40代男性。自覚症状は無く、初めて受診した人間ドックの上部消化管内視鏡にてSSBEが認められ、SSBE内の左壁に約5mm大の境界明瞭な発赤隆起性病変が発見された。インジゴカルミン撒布で隆起の境界はさらに明瞭に認識され、微小癌が疑われた。NBI拡大観察にて、背景粘膜には軽度の大小不同を有するpit様構造が認められたが、病変部分の表面構造は不明瞭化し、走行不整、口径不同、ネットワーク形成を呈する異常血管を認めた。以上より高分化型腺癌と診断し、生検にて確認した。他に腫瘍を疑う病変は認められず、微小バレット腺癌と診断しESDによる一括切除を施行した。

 最終診断はwell differentiated adenocarcinoma, pT1a-SMM, ly0, v0, pHM0, pVM0, pType0‒IIa, 5x3mm, Aeであった。全割標本を詳細に検討したところ、主病変から離れて1mm大の分化型癌を2個認めた。内視鏡像、切除標本と対比して再検討したが、これらの同時多発1mm癌を診断する事はできなかった。

【考察】Barrett食道癌は多発する事が多いため、本例ではNBI拡大内視鏡にて詳細な観察を行っており、現時点における微小Barrett食道腺癌発見の限界症例と思われた。