日本消化器内視鏡学会甲信越支部

81.胃結腸瘻を形成した横行結腸癌の一例

飯田市立病院外科
秋田 倫幸、平栗 学、堀米 直人、金子 源吾
飯田市立病院 臨床病理科
持塚 章芳、伊藤 信夫

 症例は78歳、男性。主訴息切れ。既往歴では高血圧以外は特記することなし。1ヶ月前より息切れが出現し近医受診し貧血を指摘された。胃内視鏡検査で胃体部後壁に潰瘍性病変を認め悪性疾患が疑われ当院紹介された。術前の精査にて胃内視鏡検査では胃体部後壁に巨大な2型病変を認めた。大腸内視鏡検査では横行結腸中央部に全周性3型病変を認めた。胃、横行結腸のともに生検で高分化から中分化型腺癌と診断された。腹部CT検査では横行結腸に全周性の壁肥厚を認め胃前庭部後壁と連続しており瘻孔形成が疑われた。リンパ節転移や肝転移などは認めなかった。注腸透視検査では横行結腸の病変部より胃へ造影剤の流出を認め、胃結腸瘻を認めた。以上より横行結腸癌による胃結腸瘻と診断し横行結腸部分切除、幽門側胃切除術を施行した。術後経過は縫合不全を認めたが保存的治療で軽快した。以降1年の経過観察中に再発は認めていない。今回、我々は胃結腸瘻を形成した進行横行結腸癌を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。