【背景と目的】イマチニブ耐性消化管間質腫瘍(GIST)患者に対する新規薬剤であるスニチニブリンゴ酸塩が本邦でも使用可能となった。日本人イマチニブ耐性GIST患者におけるスニチニブ治療の効果と安全性を明らかにする。【研究デザイン】大学病院における前向き臨床研究。【患者と方法】2008年8月までに新潟大学医歯学総合病院でスニチニブ治療を受けたイマチニブ耐性GIST再発患者7名。患者の性別は男性5名、女性2名、平均年齢は56.7歳(48−67歳)であった。イマチニブ耐性は、von Recklinghausen病合併の一次耐性患者が1名、二次耐性患者が6名であった。症例ファイルおよび診療録をもとに効果と安全性について分析した。スニチニブ治療は50 mg/日を開始用量とし、4週投与2週休薬のスケジュールで行った。休薬、減量は適正使用ガイドに従った。【成績】現時点で2か月以上の観察が得られている3名の抗腫瘍効果はいずれもSDであり、その無増悪期間はそれぞれ110、135、237日であった。7名中6名がグレード3の副作用を生じ、休薬を必要とした。休薬理由は好中球ないしは血小板減少によるものが4名、肝膿瘍と手足症候群によるものが1名、高度な浮腫と貧血によるものが1名であった。グレード3の血液毒性を生じた5名中4名が治療1コース途中での発症であった(治療第17、21、21、26日)。2名が原病で死亡しているが(治療開始後26週、47週)、237日間の無増悪を得た1名が1年以上の長期生存を継続している(63週間)。【結論】イマチニブ耐性GIST患者に対するスニチニブ治療は海外データに近い良好な臨床効果を示した。一方、治療早期から高度な副作用を生じる患者が多く、大多数の症例でスケジュール通りの治療が行い得なかった。日本人患者におけるスーテント治療では、血液毒性を始めとする副作用を慎重にモニターリングする必要がある。