日本消化器内視鏡学会甲信越支部

61.成人アレルギー性紫斑病の一例

新潟県立十日町病院 内科
丸山 弦、山口 征吾、秋山 宏修、塚田 芳久
新潟県立十日町病院 外科
佐原 八束、岡島 千尋、樋上 健、設楽 兼司、林 哲二、福成 博幸

 症例は57歳、男性。両下腿の点状出血を伴う腹痛が出現し入院。腹部CTでは、十二指腸から空腸にかけて腸管の浮腫性変化と腹水を認めた。EGDでは上十二指腸角から下行脚にかけて浮腫状変化と点状発赤を認めた。臨床経過と画像よりアレルギー性紫斑病と診断しステロイドパルス療法を開始した。血液検査では凝固活性第13因子の低下を認めていた。治療開始後、腹痛は劇的に改善し、点状出血も消退が認められたが、ステロイド減量中に再び点状出血が増悪したため第13因子製剤を併用し、点状出血は改善した。経過中、腎機能障害は認めなかった。現在、ステロイドは中止したまま病状は安定している。アレルギー性紫斑病の治療法としてステロイド療法が有効とされているが投与期間、投与量などは確立していなく、また第13因子製剤の使用も同様である。比較的まれな疾患であるが症状は多彩であり、若干の文献的考察を加え報告する。