日本消化器内視鏡学会甲信越支部

9.食道pyogenic granulomaの4例

長野市民病院 消化器科
須澤 兼一、長谷部 修、立岩 伸之、越知 泰英、彦坂 吉興
長野市民病院 臨床病理科
保坂 典子

 Pyogenic granuloma(化膿性肉芽腫;以下PG)は後天性の良性血管腫で,消化管に生じることは稀である.当院で過去13年間に経験した食道PG4例について内視鏡的特徴を中心に報告する.【症例1】65歳女性,近医にて胃潰瘍の経過観察を行っていたところ上部消化管内視鏡検査(EGD)で中部食道に15mm大の発赤調で光沢のある有茎性ポリープを認めた.ポリープは一部分葉状で白苔を有しており,ヨード染色で白苔部を除き,淡く染色された.生検でPGが疑われ,内視鏡的ポリペクトミーを行った.【症例2】46歳男性,人間ドックのEGDにて,中部食道に5mm大の発赤調で光沢のある分葉状の亜有茎ポリープを認め,生検を行ったところ出血を認め,クリップを用いた止血を行った.【症例3】71歳女性,食後の胸部違和感を主訴に近医にてEGDが施行された.EGD上,食道胃接合部口側に頂部に発赤を認める白色調の5mm大有茎性ポリープを認めた.生検を行ったところ出血を認め,クリップを用いた止血を行った.【症例4】63歳男性,人間ドックのEGDにて,中部食道に5mm大の白苔の付着した発赤調で光沢のある隆起性病変を認めた.ヨード染色で淡く染色され,EUSでは2〜3層を中心に内部均一で比較的高エコー輝度の腫瘤であった.1983年〜2008年までの医中誌における食道PGの報告例は19例にすぎず,その内視鏡的特徴は有茎性・亜有茎性の症例が多く,光沢のある発赤調の病変で,白苔を伴っているものが多く,約1/3の症例で分葉傾向を認めた.生検にて強い出血を来たしやすいことも特徴と考えられた.