日本消化器内視鏡学会甲信越支部

30.ATM療法が著効した潰瘍性大腸炎の一例

県立吉田病院内科
渡邊 順、中村 厚夫、八木 一芳、関根 厚雄

症例は、18歳、女性。既往歴に特記事項なし。2007年4月4日から5月25日に潰瘍性大腸炎初発(全結腸型・中等症)のため入院。SASPに加えステロイド(60mg)静注療法と白血球除去療法(以下LCAP)5回が著効し、ステロイド漸減し外来にて経過観察していた。しかし服薬が不規則となり、10月30日に腹痛と1日4〜5回の下痢が出現したため、11月2日に大腸内視鏡検査を施行したところ横行結腸からS状結腸にかけて再燃を認め、11月9日に入院となった。入院後よりSASPの内服、ステロイド静注療法とLCAPを開始した。しかし、前回入院のような症状改善なく、さらに39度台の発熱と輸血を要する程の下血が連日続き、サイトメガロウィルスの感染も考え、抗ウィルス薬の投与を行ったが効果なく、外科的治療を検討したが若年女性ということもあり可能であれば手術を回避したいと考え、ATM療法(アモキシシリン1500mg/day、メトロニダゾール750mg/day、テトラサイクリン1500mg/dayの3剤を2週間内服)を施行した。治療開始後より腹痛も改善し下血も消失。経口摂取も可能となり、ステロイド漸減し、内服へ切り替えるも症状悪化なく、1月22日に退院となった。現在は、SASP、プレドニン20mgによる治療中である。

ステロイド抵抗性、LCAP無効の潰瘍性大腸炎に対し、ATM療法が著効した一例を経験したので報告する。