日本消化器内視鏡学会甲信越支部

25.ダブルバルーン小腸内視鏡にて術前に確診しえた肺癌の小腸転移の一例

信州大学医学部 消化器内科
須藤貴森、市川真也、児玉 亮、武田龍太郎、竹中一弘、長屋匡信、張 淑美、松田賢介、北原 桂、白川晴章、高山真理、新倉則和、中榮司
信州大学医学部附属病院 内視鏡診療部
赤松泰次
長野市民病院 消化器内科
丸山雅史、長谷部修

症例は61歳の男性。2006年7月に肺癌に対して手術(右肺中下葉切除)を施行され、術後病理診断は扁平上皮癌で病期はStageUBであった。その後カルボプラチン&パクリタキセルによる術後補助化学療法を施行された。術後は再発の兆候はなく経過良好であったが、2007年3月肺癌のフォローアップ目的に施行された胸腹部CT検査で、空腸に限局性の壁肥厚を認め、小腸造影では空腸に腫瘤性病変と内腔の狭小化を認めた。小腸の精査目的に2007年4月にダブルバルーン小腸内視鏡検査を行ったところ、空腸に全周性の潰瘍性病変を認めた。同部からの生検で扁平上皮癌と診断され、肺癌の小腸転移と考えられた。全身検索では他部位に明らかな転移性病変はなく、2007年5月に小腸部分切除術を施行した。腫瘍は小腸間膜から小腸内腔まで広がる8×3cm大の病変で、リンパ節転移は認められなかった。