日本消化器内視鏡学会甲信越支部

18.NBI内視鏡システムを用いて観察し得た胆管癌の1例

済生会新潟第二病院 消化器科
樋口和夫、関慶一、今井径卓、上村博輝、渡辺孝治、石川達、太田宏信、吉田俊明、上村朝輝
外科
中塚英樹、坪野俊広、酒井靖夫
病理科
石原法子

乳頭状発育を呈する胆管癌に随伴する表層進展部の診断は、これまでの胆道鏡での肉眼所見のみからでは困難であった。その病変範囲の診断の確定には生検が用いられてきた。

今回、中部胆管に発生した胆管癌症例で、経十二指腸乳頭的に病変部を含め胆管内のNBI観察を行う機会を得た。症例は64歳男性、閉塞性黄疸の精査のため当科へ紹介され入院。CT検査から上記と診断し、病変部精査のため、オリンパス社製TJF260VとCHFB260を用いて観察を行った。内視鏡所見として、通常光観察では、胆管中部の主病変部は強い発赤を伴う結節状を呈し、周囲より目立って拡張した不整血管を伴っていた。随伴する表層進展部は、まだらな発赤を伴う粗造粘膜の境界不鮮明な領域として認識された。一方、NBI観察では、それらの所見が比較的明瞭となり、乳頭状の表面構造や不整で口径不同な血管の増生所見、表層進展部では微小顆粒状の粘膜構造と断裂を伴う不整な血管構築の乱れ像が強調されて認められた。術後の病理所見とも合わせ、胆道でのNBI観察の有用性を示唆するものと考え報告する。