日本消化器内視鏡学会甲信越支部

14.スクリーニング内視鏡で発見された十二指腸副乳頭部カルチノイドの2例

長野市民病院 消化器科
彦坂 吉興、長谷部 修、須藤 桃子、武藤 英和、立岩 伸之、越知 泰英
内科
西井 裕
同外科
草間 啓、関仁誌、宗像 康博
同病理
保坂 典子

【症例1】53才男性。H19年10月当院人間ドックのスクリーニング内視鏡で、十二指腸副乳頭部に13mmの腫瘤を発見された。腫瘤は辺縁平滑な一部陥凹を伴う隆起性病変であった。生検の結果カルチノイドと診断された。EUSでは第4層に主座を有する13×9mm大の内部エコー不均一な低エコー像を示す腫瘍であった。十二指腸造影では十二指腸下行脚内側に境界明瞭な20mm大の隆起性病変を認めた。腹部造影CTでは十二指腸下行脚内側壁に15mm大の多血性腫瘤を認めた。CT上明らかな転移所見はなく2007年12月3日PPPD施行。術後病理所見では、腫瘍径13mmでありカルチノイド、ly(+)、V(-)、n(+) (No17)であった。

【症例2】73才女性。H19年当院人間ドックのスクリーニング内視鏡で十二指腸副乳頭部に15mmの腫瘤を指摘された。腫瘍は表面平滑な黄白色調の隆起性病変であった。表面はやや不整であり、生検の結果カルチノイドと診断された。十二指腸造影では十二指腸下行脚内側に境界明瞭な20mm大の隆起性病変を認めた。IDUSでは第3層に主座を有する10×7mm大の内部エコー不均一な低エコー腫瘤であった。ERCPでは胆管、膵管に狭窄や圧排の所見は認められなかった。腹部造影CTでは十二指腸内側に15mm大の多血性腫瘤を認めた。CT上は明らかな転移を認めずH19年9月1日PPPD施行。術後病理所見では、腫瘍径10×8mm、カルチノイド(well differentiated endocrine neoplasm)進達度;Od,ly(+)、v(-)、n(+) (No.13,No17)であった。

十二指腸副乳頭カルチノイドは腫瘍径が小さくてもリンパ節転移陽性例があり、PPPDまたはPDが必要と思われる。

十二指腸副乳頭カルチノイドは極めてまれであり当院で経験したもう一例と合わせ診断、治療方針につき考察する。