日本消化器内視鏡学会甲信越支部

13.十二指腸の濾胞性リンパ腫の検討

立川綜合病院内科
星 隆洋
新潟県立がんセンター新潟病院 内科
加藤 俊幸、佐藤俊大、佐々木俊哉、船越 和博、本山 展隆
同 病理検査科
太田 玉紀

【目的】消化管悪性リンパ腫のうち濾胞性リンパ腫は約4%と稀であるが、 十二指腸では濾胞性リンパ腫を診断することがある。また治療方針について苦慮するときもあるので臨床病理学的に検討した。

【対象】2006年から診断された十二指腸濾胞性リンパ腫の4例について内視鏡所見、占拠部位、治療法と予後などを検討した。全例50歳台で、性別は男性2例、女性2例である。

【成績】発見動機は胃部不快感などの有症状が2例、無症状が2例で、内視鏡検査により発見診断された。部位は上十二指腸角1例、下行部3例で、内視鏡所見はいずれも白色調の顆粒状集簇性病変であった。生検では濾胞構造形成を伴った小型異型リンパ球が主体の増生を認め, 特殊染色からfillicular lymphomaと診断された。なお1例では終末回腸にも同様の病変を認めた。治療として、3例ではrituximab単独療法を選択したが、他の1例で自然退縮を認め、watchful waitingとしている。

【結語】2年間で4例の十二指腸に濾胞性リンパ腫を診断し、いずれも白色顆粒状の特徴的な内視鏡像を認めた。さらに3例にはrituximab単独療法を選択し有効性を認めた。