日本消化器内視鏡学会甲信越支部

4.胃癌範囲診断における酢酸・インジゴカルミン・サンドイッチ法(AIサンドイッチ)の検討

新潟県立吉田病院 内科
八木一芳、佐藤聡史、中村厚夫、関根厚雄

演者らは酢酸を用いたダイナミック・ケミカル法を報告してきた。この手技は、酢酸散布後、非癌部に比し癌部の白色化が早期に消失することから生ずる赤と白のコントラストから範囲診断する方法である(Yagi K, et al. Gastrointest Endosc 62:963-969,2005)。さらに2005年より酢酸散布の後にインジゴカルミンを追加散布する方法を行ってきた。この方法は酢酸・インジゴカルミン・サンドイッチ法(AIサンドイッチ)と呼んでいる。この2つの方法を演者らは「化学的」色素法としている。AIサンドイッチ法は酢酸散布後にインジゴカルミンを散布すると非癌部にはインジゴカルミンが付着するが癌部には付着しない現象を利用した診断法であり、コントラスト法とはまったく異なる。その命名は酢酸を一次抗体、インジゴカルミンを二次抗体に擬え、酵素抗体法の一つであるサンドイッチ法の名称を真似たものである。この2つの「化学的」色素法は共に酢酸の癌、非癌との反応の違いから生ずる現象と考えている。当院ではESD前の範囲診断に通常観察の後、NBI拡大観察をルーチンに行っているが、症例によってダイナミック・ケミカル、AIサンドイッチを併用している。特に拍動や呼吸性移動が激しく内視鏡の粘膜への安定した接触が困難な症例、血管パターンの判断が困難な症例の範囲診断、広い病変の全体像を観察する際にはAIサンドイッチが非常に有用であった。本学会ではAIサンドイッチの手技を動画も含め紹介したい。また、当院で作成している1.5%酢酸の調剤法や管理法も紹介したい。