【症例】87歳、女性 【主訴】右上腹部痛 【既往歴】2001年 脳梗塞(塩酸チクロピジン内服)、低酸 素血症(胸郭・脊椎高度変形に伴う換気障害) 【現病歴】2000年頃より食後に胆石発作を繰り返すよ うになる。手術希望無く経過観察中、2007年4月食後右上腹部痛を認め受診。右上腹部に圧痛があり、 CTにて胆石と胆嚢の腫大を認めた。炎症反応は上昇していなかったが症状の改善が無く入院となった。 絶飲食と抗生剤投与行うも第4病日 白血球 12170 /μl、CRP 26 mg/dlと高度の炎症所見に加え、血 小板 6.1 万/.μl、FDP-DD 21.4 μg/mlと汎血管内凝固症候群(以下DIC)を併発した。塩酸チクロピジ ン内服中止後間もないこととDICを併発していたことから、出血の危険性を考慮し、経皮的に行わず 経乳頭的経鼻胆嚢ドレナージ術を選択した。胆管造影により胆嚢管の結石は嵌頓が解除され、胆嚢内 に経鼻胆道ドレナージチューブ(Cook社製 6Fr pig tail)を留置し得た。以後、速やかに症状と炎症所 見・DICの改善を認めた。以前より高度の低酸素血症を認め、手術を希望されなかった為、十分なイ ンフォームド・コンセントの上、胆石の嵌頓予防に経乳頭的胆嚢ステント留置術を施行した。排液胆 汁の混濁が消失した第9病日に経鼻胆道ドレナージチューブをガイドに内視鏡を挿入し、ガイドワイ ヤーを胆嚢内に留置。胆汁流出路を確保する目的にESTを付加し、胆嚢ステント(Cook社製 7Fr 7cm double pig tail)を留置した。以後、胆石発作は同年9月現在認めていない。手術不能有症状胆嚢結石 に対して経乳頭的胆嚢ステント留置術の報告は少なく、今後も十分な経過観察が必要であるが、良好 な経過を得た1例を経験したので報告する。