日本消化器内視鏡学会甲信越支部

65.パピロトームの選択的胆管挿入困難例における十二指腸乳頭の形態に基づいた precut法の選択の有用性

昭和伊南総合病院 消化器科
堀内 朗、中山佳子、一瀬泰之、梶山雅史

【目的】パピロトームの選択的胆管挿入困難例においては、これまで種々のアクセス法が報告されて いる。我々は、十二指腸乳頭の形態に基づいて選択したプレカット法を用いて胆管挿入を試みてきた ので、これまでの成績に基づいてその有用性について報告する。【方法】十二指腸乳頭の形態に基づ いて、小乳頭、大乳頭、腫大した乳頭の3群に分類した。パピロトームの選択的胆管挿入困難例にお いて、小乳頭に対しては、transpancreatic sphincterotomy(TPS)を、大乳頭に対しては needle- knife precut sphincterotomy(NPS)を、腫大した乳頭に対してはneedle-knife fistulotomy (NKF) を選択し、その際のパピロトームの選択的胆管挿入成功率および偶発症発生率について検討した。 【成績】プレカット法が必要であった胆管挿入困難例は1062例中86例(男性58例、平均年齢 76 歳)であった。TPSは48 例中46例(96%)が成功、NPSは30 例中27例 (90%)が成功、NKFは8例中 8例(100%)が成功した。2回のERCP施行後の最終的な胆管挿入成功率は100%であった。偶発症発 生率は、86例中4例(4.7%)で出血2例、膵炎2例であった。【結論】パピロトームの胆管挿入困難 例において、十二指腸乳頭の形態に基づいたプレカット法の選択は、挿入成功率の向上と偶発症発生 率の低下をもたらす有用な方法であった。