日本消化器内視鏡学会甲信越支部

53.インターフェロン加療中に虚血性腸炎を合併したC型慢性肝炎の1例

厚生連村上総合病院 内科
岩松 宏、綱島勝正
厚生連村上総合病院 外科
清水武昭

 C型慢性肝炎に対するインターフェロン療法では種々の副作用の報告があるが、今回我々はインター フェロン加療中に下血を来たした症例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。症例は 48歳女性。C型慢性肝炎にて14年前、インターフェロン療法をうけたが、終了後再燃。その後肝庇護 剤にて経過をみられていた。本人の希望にて、ペグインターフェロンアルファ-2b 100μgとリバビ リン600mg内服の加療を開始した。HCV-RNA定性試験は、18週目にようやく陰性化。その後、白 血球減少、貧血のため、ペグインターフェロンアルファ-2bは50μg、リバビリンは400mgへ減量さ れた。38週目に突然腹痛・下血があり、当科入院。下血3日後に全大腸検査施行したところ、下行結 腸は全体的に斑状の発赤が縦走傾向をもって認められ、虚血性腸炎と考えられた。生検でもうっ血所 見あり、虚血性腸炎に矛盾しない所見であった。その後保存的に症状は改善。Informed consentの 上2週間の休薬の後同加療を再開したが、その後再発は認められていない。本症は高血圧、糖尿病、 高脂血症等の合併は認めず、インターフェロン療法による副作用と考えられた。インターフェロン療 法による虚血性腸炎の発生は散発的に報告されており、インターフェロン加療中の消化管病変の発生 にも注意が必要と考えられた。