日本消化器内視鏡学会甲信越支部

50.十二指腸球部病変が発見の契機となった消化管原発follicular lymphoma の1例

信州大学附属病院 消化器内科
市川真也、金子靖典、須藤貴森、児玉 亮、長屋匡信、武田龍太郎、竹中一弘、張 淑美、松田賢介、北原 桂、須澤兼一、白川晴章、田中榮司
信州大学附属病院 内視鏡診療部2
赤松泰次

 症例は70歳、女性。以前に胃腺腫に対して内視鏡的粘膜切除術を施行し、以後定期的に経過観察され ていた。2006年10月に定期観察の上部消化管内視鏡検査(EGD)を施行したところ、十二指腸球部前 壁に白色顆粒状隆起性病変の集簇を認めた。病理組織所見でfollicular lymphoma、grade 1の所見 であった。Staging目的で経口的にダブルバルーン小腸内視鏡(DBE)を施行したところ、空腸にも十二 指腸と同様な白色顆粒状隆起性病変の集簇を多発性に認めた。また、下部消化管内視鏡検査(TCS)で も回腸終末部にも顆粒状隆起性病変の集簇を認めた。いずれも病理組織所見でfollicular lymphoma、 grade 1の所見であった。腹部CTで腸管膜リンパ節および傍大動脈リンパ節の腫大を認め、Lugano 国際分類stageU2と診断した。治療としてR-CHOP療法を6クール施行したところ、EGD、DBE 、 TCS、腹部CTでいずれも病変は消失した。完全寛解と考え、現在外来にて経過観察しているが、治療 後4ヶ月経過した現在再発は認めていない。消化管原発follicular lymphomaは十二指腸下行部の病 変にて発見されることが多いが、本例のように十二指腸球部で発見される症例は稀と考え報告した。