日本消化器内視鏡学会甲信越支部

48.十二指腸主乳頭に発生した炎症性腫瘤の1例

佐久総合病院 内科
比佐岳史、古武昌幸、高松正人
佐久総合病院 外科
大久保浩毅

【症例】患者は70歳代、女性。胆嚢結石術前のスクリーニングEGDにて乳頭部癌を疑われ、手術目 的に当院外科へ紹介となった。内視鏡的には十二指腸主乳頭口側隆起の粘膜下よりペニス状に露出す る、薄い白苔を伴う表面凹凸不整な発赤調隆起を認め、主乳頭開口部は正常であった。生検では壊死 組織および炎症細胞浸潤を認めた。隆起はEUSにて内部不均一な低エコー腫瘤として描出され、一部 で十二指腸固有筋層が不整であった。CTでは主乳頭付近に早期相にて淡く造影され、後期相にて辺縁 が周囲十二指腸粘膜より強く造影される腫瘤を認めた。胆管および主膵管の拡張は認められなかった。 よって、十二指腸粘膜下より発生し固有筋層に浸潤する内分泌腫瘍等を考慮し、PpPDを施行した。 固定標本割面では主乳頭口側隆起より露出する最大径16mm大の白色調の粘膜下腫瘤を認め、乳頭部 胆管・主膵管が腫瘤内を貫通していた。組織学的に腫瘤はリンパ球・形質細胞を主体とした炎症細胞 浸潤、線維化から成っていた。乳頭部の炎症性腫瘤は非常に稀であり、報告する。