日本消化器内視鏡学会甲信越支部

42.中結腸動脈瘤破裂の1例

厚生連篠ノ井総合病院 外科
高田知治、名取恵子、宮本英雄、池野龍雄、荒居琢磨、浦川雅己
厚生連篠ノ井総合病院 臨床病理科
川口研二

 腸間膜動脈領域の動脈瘤は稀な疾患である。今回、中結腸動脈に発生した動脈瘤破裂の1例を経験し たので報告する。症例は75歳、女性。主訴:嘔吐と腹痛。既往歴:虫垂炎、糖尿病、胸部大動脈瘤。 現病歴:平成19年8月下旬、嘔吐と腹痛が出現し、翌日救急車で来院した。来院後、血圧低下を認め た。腹部CTで、右腹部腸間膜および後腹膜に血腫を認めた。3D 血管造影CTで上腸間膜動脈の右側 結腸に向かう分枝の一部に動脈瘤の所見を認めた。腸間膜内動脈瘤の破裂と診断し、同日緊急手術を 行った。開腹すると右結腸腸間膜周囲に血腫が存在した。中結腸動脈に動脈瘤が存在し、そこからの 出血を認めた。動脈瘤を切除し、右半結腸切除を行った。病理組織検査で、小型動脈に動脈瘤が形成 され、破綻していた。瘤の部分では、内弾性板、中膜が欠如し、外膜のみが残存する部分が確認され た。術後、両下腿に静脈血栓症が出現したためヘパリンを使用した。その後の経過は良好であった。