日本消化器内視鏡学会甲信越支部

37.ランソプラゾール起因性Collagenous colitis の1例

新潟県立吉田病院 内科
渡辺 順、関根厚雄、八木一芳、中村厚夫

 症例は、71歳、女性。既往歴として1999年から強皮症、間質性肺炎、高血圧があり外来通院されて いた。2006年11月17日から水様性の下痢が出現。整腸剤内服にて経過観察されていたが改善なく、 12月21日に当科紹介となった。初診時は、ロキソプロフェンナトリウムを内服していたため NSAIDs起因性のCollagenous colitisを疑い、大腸内視鏡検査を施行。生検にてCollagenous colitisと診断された。ロキソプロフェンナトリウム内服を中止したが、下痢は改善せず2007年2月 19日に当科再診。その際、2006年8月より逆流性食道炎のためランソプラゾールが処方されている ことが判明し、ランソプラゾール起因性Collagenous colitisと考え、ラベプラゾールナトリウムへ変 更した。その後、速やかに下痢は消失し、4月9日の大腸内視鏡検査時の生検では、Collagen band は残存していたが、大腸粘膜の炎症は著明に改善していた。私たちはCollagenous colitisを8例経験 しているが、そのうち3例がランソプラゾールによるものであった。今回の症例では、Ki67による細 胞動態も検討したので当日言及したい。