症例は、34歳の女性。急性腹症にて来院、腹部は膨隆し腹膜刺激症状を認めた。CT検査にて多量の 腹水、また上行結腸腸間膜に直径約10cmの腫瘤を認めた。上行結腸GIST破裂の診断にて、同日緊急 手術を施行した。手術所見は、血性腹水が300ml存在し、腫瘤は上行結腸壁から発育しており、腫瘤 腹側面に径1cmの破裂孔を認めた。右結腸切除術を施行し腫瘤を摘出した。摘出標本では、腫瘤が上 行結腸から発生し、大きさ9×8.5×6cmの壁外発育型腫瘍であった。粘膜面は3.5×3cmの3型様病 変を呈していた。病理組織学的所見は、粘膜表在部は低分化を主体とし、深部は分化型も散見される が、大部分が未分化型であった。また未分化な部分は腺腔形成が全くなく、細胞同士の結合性にも乏 しく、充実性に増殖し壊死も著しかった。腫瘍細胞は大型でN/C比が高く、核の不整・大小不同が顕 著で、核小体が目立った。術後に化学療法・免疫療法を施行するが、3ヶ月後に再発が認められ、術 後9ヶ月後で死亡した。 今回我々は、急性腹膜炎にて緊急手術を行った若年性上行結腸未分化癌の 一例を経験したので報告する。