日本消化器内視鏡学会甲信越支部

16.経鼻内視鏡検診の現状

山梨県厚生連健康管理センター
依田芳起、小俣秀雄、高橋ひふみ、渡辺一晃、高相和彦

【目的】当センター人間ドックにおける経鼻内視鏡の現状を報告し有用性、合併症について検討する。
【方法】平成19年1月より8月までの内視鏡検査受診者11,870名で経鼻内視鏡検診を受診した291名 (2.5%)であった。前回経口内視鏡で苦痛を強く感じた症例や、希望者を対象とした。使用機種はオリ ンパス社製GIF-XP260N。ガスコン2ml服用後、ジャクソンスプレーにて8分前、5分前に2回4%キ シロカイン液と硝酸ナファゾリン液0.05%の1対1混合液を1〜2回噴霧、開始1分前に咽頭にキシロ カインスプレー8%を前処置として行い、鎮痙剤は使用していない。挿入前2%リドカインゼリーを 通気性の良い鼻粘膜に塗布し、スコープもキシロカインゼリー塗布後挿入する。
【結果】291名の経鼻内視鏡受診者(男性164名、女性127名)で挿入中止例は男性4例、女性17例であった。理由は狭いため7例、痛み強いため3例、挿入できず2名 出血のため1名、その他不明4名であった。鼻出血で処置が必要であった症例は6例2.1%(男性3例、 女性3例)いづれもボスミン綿球で止血した。重篤な合併症はなかった。
【結論】受診者の多くは苦痛が軽減され次回も希望される受診者が多く、今後検査数の増加が見込ま れ、上部消化管スクリーニング検査として有用な検査法と考えられる。