日本消化器内視鏡学会甲信越支部

26.多発小腸ポリープ切除13年後に小腸ポリープを先進部に再び腸重積をきたしたPeutz-Jeghers症候群の一例

新潟県立新発田病院 内科
國枝献治
同 病理
本間 照, 夏井正明, 阿部聡司, 岩永明人, 玄田拓哉, 姉崎一弥, 関根輝夫, 若木邦彦
日本歯科大学新潟生命歯学部医科病院 外科
須田武保
新潟大学医学部 分子・診断病理学分野
味岡洋一

症例は34歳、女性。2歳頃より口唇・指先に黒褐色の色素沈着を認めていた。15歳時に貧血精査のため入院。Peutz-Jeghers症候群と診断された。21歳時、度重なる腹痛が出現し、腸閉塞と診断された。開腹下に、肉眼的に大きさ5mm以上と思われる全ての小腸ポリープ、最大4p、計31個を切除した。病理組織診断は全て過誤腫であった。その後は無症状で経過していたが、34歳時、突然、腹痛・嘔吐が出現し、次第に増強したため、当科入院。上腹部に約5p大の軟らかい腫瘤を触知した他、鉄欠乏性貧血を認めた。腹部CTにて重積した腸管を認め、管腔内に先進部と思われるポリープ様の陰影を認めた。開腹、内視鏡ガイド下に最大3p、合計39個の小腸ポリープを切除した。上部および下部消化管内視鏡検査では、胃、十二指腸、大腸に最大約3pの有茎性、桑実状ポリープの散在を認めた。病理組織診断では3個の小腸ポリープが粘膜内癌であり、さらに上行結腸のポリープ茎部に粘膜内癌を認めた。

13年前の術中所見および組織所見が確認でき、その後同様の腸閉塞により開腹術を行ったPeutz-Jeghers症候群症例を経験したので、文献的考察を加え報告する。