日本消化器内視鏡学会甲信越支部

25.腹痛で発症したアレルギー性紫斑病の1例<

市立甲府病院、消化器科
小林 祥司, 青木 いづみ, 進藤 浩子, 俵 章夫, 若宮 稔, 嶋ア 亮一, 赤羽 賢浩
同皮膚科
市川 健
同病理科
宮田 和幸

【症例】47歳、男性。【既往歴】小学生の時に腎炎で入院するが詳細不明。37歳、胆石胆嚢炎のため腹腔鏡下胆嚢摘出術。【現病歴】平成18年5月中旬より心窩部痛が出現し近医を受診、内服加療を受けたが、症状が改善しないため紹介、精査加療目的で入院となった。入院時に施行した腹部CTでは、十二指腸水平脚〜近位空腸壁に浮腫状の変化を認めた。上部消化管内視鏡検査では、胃前庭部を中心とする発赤と十二指腸下行脚〜水平脚にかけての地図状潰瘍を認め、十二指腸粘膜の生検では炎症細胞浸潤を認めるのみで、血管炎の所見は認められなかった。絶食・H2ブロッカーの投与を行ったところ、一時的に症状は軽快したが、食事の開始により腹部症状が再発した。再び保存的治療を開始したが、腹痛は持続していた。発症後約1ヶ月経過してから、両下腿〜足背にかけて紫斑が出現し、皮膚生検にてアレルギー性紫斑病と診断した。プレドニゾロンの投与にて、腹部症状・皮膚症状ともに軽快、退院となった。【結語】腹痛が先行し、紫斑が遅れて出現した、アレルギー性紫斑病を経験したので、若干の考察を加え報告する。