日本消化器内視鏡学会甲信越支部

19.フックナイフを用いて乳頭切開を試みたBillroth II法再建症例の2例

独立行政法人国立病院機構中信松本病院 消化器科
菅 智明, 小林 正和

 総胆管結石症の患者の中で、Billroth II法で再建された胃切除後症例では内視鏡的治療に難渋することがあり、各施設で様々な方法が紹介されている。今回我々は直視鏡を用いてフックナイフで乳頭切開を行い、良好な結果を得たので報告する。

 症例1は81歳女性。腹痛、閉塞性黄疸のため当院に紹介となった。幽門側胃切除、Billroth II法再建後であったため、先端アタッチメントを装着した直視鏡を十二指腸乳頭まで挿入し、まずは乳頭バルーン拡張後に結石除去を試みた。砕石鉗子を使用するも大部分の結石が残存したため、一旦両ピッグテールカテーテルを留置して終了した。5日後に両ピッグカテーテルをガイドにフックナイフを用いて乳頭切開を行ったところ、容易に切開、結石除去できた。

 症例2は84歳男性で同様の処置を行った。両症例ともに積み上げ型の総胆管結石であり、バルーン乳頭拡張のみでは胆管口が狭く結石除去は困難であったが、乳頭切開を行うことで除去は容易になった。フックナイフは乳頭切開を短時間で完了する手段として有用であると思われた。