日本消化器内視鏡学会甲信越支部

14.上部消化管スクリーニング検査におけるLow fixed-dose propofolの有用性

昭和伊南総合病院消化器科
一瀬泰之, 堀内 朗, 黒河内明子, 梶山雅史
信州大学小児科
日高奈緒, 加藤沢子, 杉山佳子

【目的】近年、日本でも上部消化管内視鏡検査(EGD)において鎮静剤の使用を希望する被検者が多くなった。欧米では急速な鎮静と良質な覚醒をもたらす静脈麻酔薬propofolの麻酔医に依存しない使用が増加している。当院では、スクリーニング目的のEGDに対してlow fixed-dose propofolを使用しているのでその有用性について報告する。【方法】方法1:対象は当院にて2年間にスクリーニング目的にpropofol(70歳未満40mg、70-89歳30mg、90歳以上20mg)を静脈内投与しEGDを施行した10212例(男5832例、平均年齢66.8歳)。全例にSpO2のモニタリングを施行し、注射後30分の覚醒状態と偶発症について検討した。方法2:この方法で内視鏡検査を受けた300例の被検者に苦痛度、検査後の活動状態、次回同様の検査を希望するかについてアンケート調査を行った。【成績】結果1:検査中、SpO2が90%以下に低下し酸素投与を必要とした症例を1.0%(102例)に認めたが、99.7%(10181例)の症例が注射後30分で検査前の状態に回復し、偶発症は1例もなかった。結果2:苦痛度では、楽であった73%(218例)、楽でも苦しくもなかった20%(60例)、苦しかった4%(12例)、覚えていない3%(10例)。91%(273例)が検査後車で帰宅したが全例特別な問題はなかった。99%(297例)が次回も同様の検査法を希望した。【結論】スクリーニング目的のEGDにおいて、low fixed-dose propofolを使用した検査は検査中のみならず検査後の安全性、利便性を考慮すると従来の鎮静剤使用法に代わる有用な検査法と考えられた。