日本消化器内視鏡学会甲信越支部

65. 肝障害を契機に発見された自己免疫性膵炎の1例

下越病院 消化器科
原田 学、河内 邦裕、渡辺 敏、畠山 眞、山川 良一

肝障害を契機に発見され自己免疫性膵炎と診断した1例を経験したので報告する。症例は48歳男性。生来健康でアルコールは飲まず、過去に肝機能異常を指摘されたことはなかった。2006年8月26日に上腹部痛が出現し近医を受診した。血液検査で GOT 404、GPT 441、ALP 1463、γGTP 1128、T−bil 4.4と肝機能異常を認め、当院を紹介されて入院した。腹部CTでは膵は均一に腫大しそのCT値は低値であった。MRCPでは膵内胆管に狭窄を認め主膵管に狭細像を認めた。ERCPでも同様に膵内胆管の狭窄と主膵管に狭細像を認めた。血液検査ではIgG4 428と高値を示した。血中アミラーゼ 40、トリプシン 210、リパ−ゼ 141と正常であったが、PFD試験は67.0%と低値であり、膵外分泌機能障害を認めた。IgG 1695、IgA 308、 IgM 65と上昇はみられなかったが、ANAは80倍と上昇していた。尚、AMA、抗SS−A/Ro抗体、抗SS−B/La抗体は陰性であった。経口ブドウ糖負荷試験は1時間値が257、血糖2時間値が321と糖尿病型であった。HbA1cは6.4%であった。以上より、糖尿病を合併した自己免疫性膵炎と診断した。プレドニゾロン30mgの経口投与を開始したところ自覚症状の軽快と肝障害の改善を認めた。