日本消化器内視鏡学会甲信越支部

62. 内視鏡的デブリドメントが有効であった巨大膵仮性嚢胞の1例

佐久総合病院 胃腸科
田中 雅樹、比佐 岳史、堀田 欣一、友利  彰寿、宮田 佳典、小山  恒男
佐久総合病院 外科
大久保 浩毅
佐久総合病院 内科
古武 昌幸、高松 正人

〔症例〕患者は50歳代、男性。胆管結石嵌頓による急性膵炎後に膵仮性嚢胞が出現した。嚢胞は徐々に増大し、5ヶ月後には腹部膨満感が出現するようになった。US、CTでは膵体尾部腹側に径21×11cm大の巨大な嚢胞性病変を認め、内部には細い動脈が走行し、debris様物質および壊死物質と思われる浮遊物を伴っていた。本人が内視鏡的治療を希望されたため、経胃的にEUS下嚢胞ドレナージ術を施行した。嚢胞内容液は乳白色で、アミラーゼ値が正常であることかあら、乳びと考えられた。最初は7F ENBDチューブを用いて外瘻としたが、嚢胞が残存するため8.5F EBDチューブを用いた内瘻を併用した。徐々に縮小傾向となったため8.5F EBDチューブ2本による内瘻のみとし、食出しを開始した。しかし数日で嚢胞感染を来し、EBDチューブは嚢胞内の壊死物質により閉塞していた。そこで、瘻孔部をバルンにて拡張し、嚢胞内に内視鏡を挿入した。嚢胞内には多数の動脈が走行し、大量の壊死物質を認めた。回収用ネットにて慎重に壊死物質を嚢胞外へ排出した。内視鏡的にデブリドメントを施行後、再度10F EBDチューブを2本留置し、内瘻化した。その後経過は良好で、現在嚢胞径は3cmと著明に縮小している。〔考察〕本例は壊死物質を伴う巨大膵仮性嚢胞であり、通常のドレナージ術では治療に難渋したが、内視鏡的デブリドメントが有効であった。