日本消化器内視鏡学会甲信越支部

57. 主膵管浸潤を来たした非機能性膵内分泌腫瘍の1例

長野県立木曽病院 外科
酒井 宏司、小林 正経、小山 佳紀、久米田 茂喜
長野県立木曽病院 内科
高橋 俊晴、小松 健一、飯島 章博
信州大学 病理
下条 久志

症例は59歳男性。2005年11月肺膿瘍の既往があり、2006年2月フォローアップのためCT施行されたところ、膵尾部主膵管の拡張および体部での途絶像を認め、同部の腫瘍が疑われた。EUSでは膵体部に境界明瞭なφ15mmのhypoechoic massを認めた。MRIでは同部にT1強調画像でやや低信号、T2強調画像でやや高信号の腫瘤として描出された。腹部CTでは造影早期で強くenhanceされ、多血性の腫瘍として描出された。ERCPでは体尾部移行部に主膵管の狭窄、これより尾側の主膵管の拡張を認めた。擦過細胞診ではClassIIIb、免疫染色でサイトケラチン(-),CEA(-),クロモグラニンA(+),NCAM(+),S-100(-)で膵内分泌腫瘍と診断された。血中インスリン、グルカゴン、ガストリンの高値は認めず膵非機能性と診断された。2006年5月膵体部切除術を施行した。術後特に問題となる合併症を認めず、術後34日退院となった。病理組織診では主膵管を伴う内分泌腫瘍と診断され、免疫染色でグリメリウス染色(+)、クロモグラニンA(+)、インスリン(-)、グルカゴン(-)、ガストリン(-)で非機能性内分泌腫瘍と診断された。今回、比較的まれな主膵管への浸潤を伴う膵内分泌腫瘍の1例を経験した。若干の文献的考察を加え報告する。