日本消化器内視鏡学会甲信越支部

54. 内視鏡的止血術にて止血しえた十二指腸巨大憩室出血の1例

小諸厚生総合病院 外科
小松 信男、高田 学、花村 徹、山下 重幸、山口 敏之、橋本 晋一
小諸厚生総合病院 胃腸科
原田 卓志

症例は82歳、女性。平成18年7月26日タール便とコーヒー残渣を嘔吐し救急搬送された。上部消化管内視鏡を行うと、胃内は出血源なく凝血塊のみであった。十二指腸下行脚で乳頭上部に大きな憩室あり底部に活動性出血を認めない露出血管が見られた。クリップ法にて止血した。翌日、大量に吐血し、ショック状態となった。補液、輸血を行いつつ、再度内視鏡行うと同部より活動性に出血が見られた。APCとクリップ法にて再度止血をおこなった。その後、経過中に出血は見られなかった。血管造影検査では特に異常所見は認めなかった。後日の十二指腸造影検査では、十二指腸に内側に突出する約5cm大の巨大な憩室が多発していた。十二指腸憩室は、消化管憩室では大腸についで多く見られるが出血することは稀である。今回、我々は内視鏡的止血術により止血しえた十二指腸下行脚の巨大憩室出血を経験したので報告する。