日本消化器内視鏡学会甲信越支部

52. Crohn病の経過中に発生した十二指腸MALTリンパ腫の1例

信州大学 医学部 消化器内科
北原 桂、松田 賢介、白川 晴章、須澤 兼一、井上 勝朗、金子 靖典、村木 崇、横沢 秀一、新倉 則和、清澤 研道
信州大学 医学部 内視鏡診療部
赤松 泰次、尾崎 弥生

症例は54歳男性。生来健康であったが1995年にCrohn病と診断された。栄養療法およびメサラジン、サラゾスルファピリジンの内服加療を受け、IOIBD score 1前後で推移していた。1996年11月の上部消化管内視鏡検査にて十二指腸球部に潰瘍廏痕を認め、H2-blockerを投与された。2006年2月に再び心窩部痛を認めたため上部消化管内視鏡検査を施行したところ、従来の十二指腸潰瘍以外に下行部に多発する白色顆粒状病変を認めた。顆粒状病変からの生検組織検査にて粘膜固有層に異型リンパ球がび慢性に増殖しlymphoepitherial lesionを認めた。免疫染色にて異型リンパ球はCD20(+)、CD3(−)、CD5(−)、CD10(−)、bcl-2(±)であり、十二指腸MALTリンパ腫と診断された。H.pylori感染は認めなかった。画像上他部位への浸潤はなく、下部消化管内視鏡検査でも異常は認めなかった。また骨髄穿刺でもリンパ腫細胞の浸潤は認めなかった。ダブルバルーン小腸内視鏡検査を行い、小腸の検索を行ったところ、病変は十二指腸下行部から水平部に限局していた。Lugano国際分類Stage Iと診断し十二指腸への放射線照射(24Gy/16回)を行った。9月に施行した上部消化管内視鏡検査では十二指腸下行部の顆粒状病変は消失したが水平部は残存していた。水平部からの生検組織検査にて一部にMALTリンパ腫の遺残が疑われ、今後の治療方針を検討中である。十二指腸下行部から水平部に発生する比較的稀なMALTリンパ腫に対して放射線療法を施行した1例を経験したのでCrohn病との考察を含めて報告する。