日本消化器内視鏡学会甲信越支部

47. 興味深いCT像を呈した胃GISTの1例

山梨県立中央病院 消化器内科
浅川 岳士、小嶋 裕一郎、辰巳 明久、三澤 綾子、鈴木 洋司、望月 仁、廣瀬 雄一、高相 和彦
山梨県立中央病院 外科
阿部 徹、三井 照夫
山梨県立中央病院 病理
小山 敏雄

症例は73歳、女性。主訴:右季肋部痛。現病歴:2002年6月に総胆管結石のため当院入院。その後のERCPで胆石ははっきりせず退院した。その際に実施した腹部CTにて、胃幽門部頭側に直径40mm大の円形のfluid-fluid levelを有する腫瘤を認めた。その後は当院に通院せず、近医で経過観察されていた。2005年6月より再度右季肋部痛出現。腹部エコー、CTにて胆嚢結石、左肝内結石と診断され、当科に紹介入院となった。入院時には症状は軽快し、身体所見では腹部に圧痛は認められなかった。入院後の上部消化管内視鏡検査では胃体下部前壁から胃角に比較的なだらかな立ち上がりを有する大きさ4−5cmの周囲と同様な粘膜で覆われた隆起を認めた。超音波内視鏡検査では第IV層から連続するhypoechoic massであった。CTでは腫瘍は約5cmの球形の腫瘍で、前回のCTで認められたfluid levelはなくほぼ均一なlow densityを呈していた。造影CTでの染まりは認められなかった。MRIでは、T1強調画像ではhigh intensity、T2強調画像では淡いhigh intensityの像を呈した。血管造影では、腫瘍血管は認められなかった。以上より壊死傾向の強い胃由来の腫瘍と診断し、当院外科にて肝内結石、胆嚢結石に対して左葉外側切除および胆嚢切除時に、胃局所切除を実施した。腫瘍は胃体中部小彎から壁外に発育する5x4x3.5cmの腫瘤で、割面は大部分は血腫で構成されていた。組織学的にも大部分は血腫であり、その周囲にわずかにCD34、c-kit陽性の部分をめ胃GISTと診断した。 以上、興味深いCT所見を呈した胃GISTを経験したので、文献的考察を加えて報告する。