日本消化器内視鏡学会甲信越支部

40. 急性胆嚢炎で発症し、胆管憩室と肝門部胆管狭窄を伴った先天性胆道拡張症の一例

新潟県立吉田病院
渡邉 順、関根 厚雄、八木 一芳、中村 厚夫

症例は、64歳女性。平成18年4月中旬頃より右背部痛出現し、近医を受診。急性胆嚢炎の疑いにて4月25日紹介入院。入院時腹部エコーでは、胆嚢頚部に径26mmの結石を認め、胆嚢壁肥厚と腫大があり、胆石胆嚢炎と考えた。同日施行した腹部造影CTでは、エコーと同様の所見に加え、胆嚢周囲の浮腫性変化そして肝内胆管の軽度拡張と肝門部胆管の嚢腫状の拡張を認めたが、エコーで指摘された結石は指摘できなかった。5月1日、症状改善後施行したERCで胆嚢内に結石を認め、総胆管には嚢腫状の拡張は認めなかったが、竹の節状のくびれと三管合流部より下部に径1cmの憩室を認めた。また肝門部胆管に強い狭窄があり、左右肝管に嚢腫状の拡張を認めたが肝内胆管の拡張は認めなかった。5月8日に狭窄の原因と膵胆管合流異常の有無を確認するために再度ERCPとIDUSを施行したが膵胆管合流異常は認めず、IDUSでは狭窄部の通過は不可能で憩室のみの観察で終了した。以上より胆石胆嚢炎と胆管憩室及び肝門部胆管狭窄を伴う先天性胆道拡張症と考え、6月7日に胆嚢摘出、総胆管切除術と胆道再建術を施行した。術後の検討では結石は純コレステロール結石であった。また狭窄部には悪性所見や炎症性変化も認めず先天異常に伴う変化と診断された。胆管憩室は非常に稀な疾患であり報告した。