日本消化器内視鏡学会甲信越支部

38. 特異な発育経過を呈した胆管内発育型肝内胆管癌の1例

新潟県立吉田病院内科
中村 厚夫、渡邊 順、八木 一芳、関根 厚雄
新潟県立吉田病院外科
田宮 洋一

症例は55歳女性。2001年8月、S状結腸癌にてS状結腸切除、D3郭清(2型、2.6cm、well、ss、n0、ly0、v0)。2002年5月、肝転移にて肝左様切除(S2:2cm、S3:3cm、S4:1cm)。術後レボホリナート・フルオロウラシル療法を行い当院外科で通院治療を行った(2002年9月まで)。2005年5月、胆道系酵素の上昇にてERCPを行ったところ肝右葉前区域枝の狭窄を認め6月精査内科入院した。胆汁細胞診はclass∨、肝内胆管癌は否定できなかったが経過より大腸癌の肝転移と診断しオキザリプラチンによる化学療法を薦めたたが患者は希望されず7月よりTS-1、100mg内服治療を行うこととした。2006年2月、黄疸にて化学療法は中止し当科入院。ERCPでは中部胆管から下部胆管までスキップするような透亮像が認められ当初は凝血塊を疑ったが可動性が無かった。十分切開はできなかったがESTを行い、検査中腫瘍塊の排出が認められたため病理検査を行ったところ腺癌と診断された。以上の経過より2005年5月に発症した肝内胆管癌が総胆管に発育してきたものと判断した。金属ステントの留置は患者が希望せず、3月23日7Frプラスチックステントを留置し経過観察した。7月激しい掻痒感にて入院、再び黄疸も認め8月17日10Frプラスチックステントに交換し現在外来通院中。特異な腫瘍の発育をERCPで経過が終えたため貴重と考え報告した。