日本消化器内視鏡学会甲信越支部

33. 経皮的ラジオ波焼灼療法にて治療を行った初発肝細胞癌患者の予後の検討

佐久総合病院 内科
古武 昌幸、高松 正人、比佐 岳史、堀田 欣一、友利 彰寿、宮田 佳典、小山 恒男

【目的】経皮的ラジオ波焼灼療法(RFA)にて治療した初発肝細胞癌症例について,予後規定因子を検討する.【対象】2000年9月から2006年8月末までに治療を行った肝腫瘍症例142例のうち,原発性肝癌で初回治療にRFAを選択した61例を対象とした.男性37例,女性24例,平均年齢67.4歳,平均観察期間33.8ヶ月.背景肝因子は,Child-Pugh分類(CP)A / B / Cが,38 / 21 / 2例.腫瘍因子として,平均腫瘍径は24.3mm(11-50mm),腫瘍個数は,1 / 2 / 3個がそれぞれ44 / 14 / 3例.進行度(Stage)I / II / III / IVは21 / 29 / 11 / 0例.造影CTまたは造影MRIにて腫瘍がenhanceされるもの / されないもの,51 / 10例.【方法】上記対象における累積生存率をKaplan-Meier法で解析し、logrank法にて検定した.【成績】全体の生存率は,1 / 3 / 5年でそれぞれ98 / 71 / 56%であった.総再発率は,1 / 3年で37 / 86%,うち局所再発は1 / 3年で9 / 11%であった.CP分類別では、CP- Aの生存率が1 / 3年で100 / 89%であるのにたいしCP- B+Cの生存率は1 / 3年で95 / 43%と有意差を認めた。腫瘍因子では,腫瘍径が20mm以下の群の生存率が1 / 3年で95 / 88%,20mm超の群で100 / 64%であり有意差は認めなかった。腫瘍数、Stage別の各因子にも有意差を認めなかった.enhanceの有無では,enhanceあるものの生存率が1 / 3年で98 / 66%であるのに対しenhanceないものは100 / 100%であったが,有意差はなかった。【考察】肝細胞癌治療後の再発のほとんどは異所性再発であり、局所再発の大半は1年以内に起こる.再発後の予後を規定するものとして,肝予備能が最も重要と考えられる.治療法としてRFAを選択した時点で腫瘍径,腫瘍数には一定の制限があり,これが今回の検討において腫瘍因子による予後に差がなかった原因と考えられる.腫瘍のenhanceの有無は中低分化肝細胞癌と高分化肝細胞癌の差を反映すると考えられ,enhanceのない腫瘍の予後が良好であった.早期高分化の状態で治療を開始することが良好な予後をもたらす可能性が示唆されたが,これもlength biasの影響を除去して検討する必要がある.【結語】今回の検討で肝細胞癌RFA後の予後を規定する因子は,肝予備能のみであった.