日本消化器内視鏡学会甲信越支部

31. 同時性バルーン閉鎖下塞栓術(DBOE)を行った胃静脈瘤出血の1例

新潟市民病院
和栗 暢生、池田 晴夫、米山 靖、横尾 健、滝沢 一休、相場 恒男、古川 浩一、五十嵐 健太郎、月岡 恵
新津医療センター病院 内科
齋藤 崇、豊島 宗厚

【はじめに】バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO)は胃静脈瘤(GV)に対する治療の主翼として確立されてきている。今回我々はBRTOに経皮経肝門脈側副血行路塞栓術(PTO)を組み合わせる同時性バルーン閉鎖下塞栓術(DBOE)をGV出血に対して行ったので報告する。
【症例】症例は50代、男性。背景はアルコール性肝硬変であるが2年前から禁酒していた。2006年3月、貧血症状で自動車事故を起こして某病院受診。GV破裂出血の診断で、輸血など保存的に治療された後、IVR目的に当科に転院した。CTおよび血管造影で、供血路は左胃静脈主体で、胃腎シャントへの排血がみられた。胃腎シャント側からは内頚静脈アプローチ、左胃静脈側からは経皮経肝的にアプローチし、両者をバルーン閉塞下に5% EOIで塞栓した。なお流入量制御のため左胃静脈には金属コイル塞栓を付加して、24時間法で治療した。術後CTでごく僅かなシャント内血流残存を認めたため、内視鏡的硬化療法を1回追加して塞栓は完全となり軽快退院した。
【結語】本例のように左胃静脈を主たる供血路とし、血流量の豊富なLg-cf型のGVに対しては、特に破裂出血例であることも考慮し、BRTOにPTOを付加するDBOEを選択するのは合目的と判断して行い、また結果も良好であった。