症例1は29歳、男性(弟)。2005年11月中旬より右季肋部不快感出現。2005年12月に当院受診。来院時血液検査にて肝機能障害(AST 270 IU/L, ALT 86 IU/L, HBsAg (+), HBeAg (-), HBeAb (+), HBV TMA DNA 4.7LGE/mL)を認め、腹部画像検査にて肝右葉に巨大なHCCを認めた。残肝機能が保たれていたため肝切除目的に信州大学.消化器外科に転院となったが、HCC ruptureにてTAEを行った。TAE後に全身検索を行ったところ転移性肺腫瘍(多発性)を認めたため手術は不可能であった。その後、骨転移を認め緩和療法を行ったが2006年6月に死亡。症例2は29歳、男性(兄)。2005年12月に家族内調査目的に当院受診。来院時血液検査にて肝機能障害(AST 34 IU/L, ALT 66 IU/L, HBsAg (+), HbeAg (-), HBeAb (+), HBV TMA DNA 5.9 LGE/mL)を認め、腹部画像検査にて肝左葉に辺縁不正のHCCを認めた。残肝機能が保たれていたため2006年3月に肝切除を行ったが境界不明の浸潤型HCCであり切除断端陽性であった。その後の多発性HCCに進展したためTAEにて加療を行ったが2006年8月に腫瘍の進行による肝不全にて死亡。同時期に肝細胞癌を合併した若年B型慢性肝疾患の一卵性双生児を経験した。一卵性双生児であり同じ免疫状態.HBV遺伝子であることを含めて同時期の発癌であったことが興味深いと思われるので報告する。