日本消化器内視鏡学会甲信越支部

22. インターフェロン療法を行った急性C型肝炎の2例

飯田市立病院 消化器内科
山浦 高裕
信州大学 医学部 消化器内科
田中 直樹
飯田市立病院 消化器内科
海野 洋、岡庭 信司、中村 喜行

症例1は30歳、女性。2001年6月に妊娠(妊娠12週)にて近医.産科の検診でHCV Ab陰性であった。2001年12月9日の血液検査(妊娠37週)で肝機能障害(T.Bil 1.1 mg/dl, AST 362 IU/L, ALT 357 IU/L)が出現。2002年1月8日の血液検査でHCV Ab低力価陽性のため1月25日に当院紹介受診。HCV RNAは陽性であり急性C型肝炎と診断。多峰性のトランスアミナーゼの上昇とHCV RNA陽性が持続し慢性C型肝炎への移行が強く示唆されたため3月6日よりインターフェロン.リバビリン併用療法を開始。24週間投与を行うことにより完全著効に至った。症例2は48歳、男性。2006年5月に全身倦怠感が出現し6月3日の当院受診。血液検査で肝機能障害(T-Bil 7.1 mg/dl, AST 1517 U/l, ALT 2746 U/l)を認めHCV Ab低力価陽性,HCV RNA陽性であったため急性C型肝炎と診断。多峰性のトランスアミナーゼの上昇とHCV RNA陽性が持続し慢性C型肝炎への移行が強く示唆されたため7月4日よりインターフェロン療法(24週間投与予定)を開始。現在治療中でありHCV RNA陰性が持続している。慢性化への移行が危惧されたため、インターフェロン療法を行った急性C型肝炎の2症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。