日本消化器内視鏡学会甲信越支部

13. 大腸疾患におけるVirtual endoscopy(仮想内視鏡表示)の有用性の検討

厚生連豊栄病院 内科
渡辺 庄治、宮島 透、嘉戸 慎一
新潟労災病院 内科
麻植 ホルム正之

【目的】Virtual endoscopy(仮想内視鏡表示)(以下VE)はCTやMRI、超音波で得られたデータをworkstationで再構成し、光学内視鏡に類似した三次元画像を表示する方法である。近年、multidetector-row CT(MDCT)の開発と画像処理用のコンピュータの発達により詳細な画像が得られるようになった。VEは、被検者に与える苦痛が少なく、光学内視鏡が到達できない部位での三次元画像が得られることより、今後の活用に期待がもたれる。【方法】今回われわれは、大腸内視鏡挿入困難例と大腸癌症例に対し、MDCTを用いたVEを試みたのでその有用性に関し検討した。【成績】症例1.56歳男性。検診で便潜血陽性を指摘され大腸内視鏡検査を施行。横行結腸癌を認めた。ただし、これより以深へ内視鏡挿入できず。VEを施行した。症例2.68歳女性脳梗塞後遺症にて近医通院中。2週間前より倦怠感出現。増悪のため救急車にて当院救急外来受診、入院。Hb:7.9と貧血を認めた。原因精査目的に大腸内視鏡検査施行。盲腸癌を認めた。VEを施行した。【結論】大腸内視鏡挿入困難例と大腸癌の症例に対しVEを試みた。VEの enema mode は注腸造影検査と同様の所見が得られると考えられ、今後有用となる可能性が示唆された。