日本消化器内視鏡学会甲信越支部

36. 多発直腸カルチノイドの1例

JA長野厚生連 富士見高原病院 外科
塩澤秀樹、岸本 恭、安達 亙
同 内科
上田恵美子、太田裕志、小松 修

 近年大腸内視鏡検査の増加に伴い、直腸カルチノイドは多く発見されるようになってきたが、多発例は比較的稀であり2?4.5%と言われている。今回、2個の直腸(Rb)のカルチノイドに対して、直腸切除術を施行した症例を報告する。症例は44歳、男性。便潜血陽性のため大腸内視鏡検査を施行し、直腸(Rb)に腫瘍径18mm の2型腫瘍と、表面白色調の腫瘍径8mm の粘膜下腫瘍を認め、生検でいずれもカルチノイドと診断された。超音波内視鏡で腫瘍径18mmのものが固有筋層への浸潤が疑われたため、直腸切除術を施行した。腫瘍径18mmの腫瘍の肛門側縁が歯状線より2cmだったため吻合は経肛門的におこなった。肉眼的には異なる形態であったが病理組織学的所見は、いずれも粘膜下層に限局したカルチノイドで脈管浸襲度も同様であった。1群リンパ節に転移を認めた。免疫組織学的染色では、Ki-67 labeling indexはいずれも低値であった。