日本消化器内視鏡学会甲信越支部

33. サイトメガロウイルス(CMV)感染性腸炎の2例

済生会新潟第二病院 消化器科
関 慶一、渡辺孝治、石川 達、土屋淳紀、上村博輝、太田宏信、吉田俊明、上村朝輝
同 内科
広瀬慎太郎
同 内科
石原紀子

 今回我々はCMVが腸炎の増悪と発症に関与したと考えられた症例を、潰瘍性大腸炎(UC)例と慢性関節リュウマチ(RA)治療例で一例ずつ経験したので、報告する。[症例1]35歳、男性。約2年前よりUC(全大腸炎型)に対して5-ASAとステロイド内服による治療を受けていたが、ステロイドの漸減に伴い再燃を繰り返していた。ステロイド離脱目的にアザチオプリンを併用され緩解を得ていたが、39℃台の高熱と血性下痢で再燃したため入院した。入院後の大腸内視鏡検査(CF)では、直腸から連続性に粘膜の血管透見性は低下しび漫性のビランや類円形小潰瘍が多発する所見に加えて出血が著明であった。生検組織からのCMV核内封入体の検出とCMV抗原血症の陽性を確認し、CMVによる原病の増悪と診断した。[症例2]78歳、女性。18年来、他院にてRAに対して治療を受けていた。ステロイドとメソトレキセート内服治療経過中に、汎血球減少症と高熱を来たしたため精査、加療目的に当院内科へ紹介されて転院した。入院後から下血が繰り返し認められたためにCFを施行したところ、症例1に類似した内視鏡所見であった。血小板減少のため生検は施行されなかったが、CMV抗原血症が陽性であった。以上より治療薬としてガンシクロビルを開始したところ、2例ともに比較的速やかな病状の改善が認められ