日本消化器内視鏡学会甲信越支部

29. Double Balloon Endoscopy(DBE)が、Mantle cell lymphomaの 進展範囲診断に有用であった1例

佐久総合病院 胃腸科
北村陽子、堀田欣一、小山恒男、宮田佳典、友利彰寿、森田周子、田中雅樹、高橋亜紀子、古立真一、新井陽子、篠原知明、吉永繁高

 症例:60代、男性。便潜血陽性にて全大腸内視鏡を施行し、全大腸に大小不同の多発粘膜下腫瘍様ポリープを認め、multipe lymphoatus polyposis(MLP)と診断し、生検の結果はmantle cell lymphoma(MCL)であった。経肛門的DBEでは終末回腸に半周性の巨大皺壁を認めた。さらに濾胞様ポリープを回腸の広い範囲に認め、生検でもMCLが検出された。経口的DBEでは、空腸にMCLを疑う所見は認めなかった。上部消化管内視鏡検査では胃十二指腸に粘膜の粗造化を認め、生検でMCLを検出した。CTで肝脾腫と腸間膜リンパ節腫大を認め、骨髄生検にて骨髄浸潤を認め、stageと診断しリツキサン+CHOPを開始した。 MCLはMLPを呈することが多いが、小腸の進展範囲を明らかにされた報告は少ない。DBEはMCLの進展範囲診断に有用であったため報告する。