日本消化器内視鏡学会甲信越支部

28. Double Balloon Endoscopy (DBE)が進展範囲診断に有用であった小腸 濾胞性リンパ腫(FL)の2例

佐久総合病院 胃腸科
吉永繁高、堀田欣一、小山恒男、高橋亜紀子、田中雅樹、古立真一、新井陽子、森田周子、北村陽子、篠原知明、友利彰寿、宮田佳典

症例1)50代、女性。EGDにて十二指腸乳頭部の結節状腫大と、周囲の粘膜粗造化を認めた。生検にてFLと診断しDBEを施行した。十二指腸水平脚から上部空腸および下部回腸に大小不同の白色小隆起集簇を認め、生検にて共にFLであった。
症例2)60代、男性。心窩部痛にてEGDを施行し、十二指腸下行脚に大小不同の白色調小隆起を認め、生検にてFLと診断した。DBEにて下行脚から上部空腸にかけて同様の病変を認め、生検にてFLと診断したが、回腸には病変は認められなかった。
 濾胞性リンパ腫は消化管の中では十二指腸に好発することが知られているが、治療前に小腸への進展を適切に診断していないまま、手術や放射線療法などの局所治療が行われることも多い。自験例では十二指腸のみならず空腸や回腸にも病変を認めたことより、全身化学療法を選択することができ、DBEは治療法選択に必須であると考えられた。