日本消化器内視鏡学会甲信越支部

27. 胆管肝静脈瘻が原因と考えられたair embolismの1例

厚生連長岡中央綜合病院 内科
岡 宏充、坂牧 僚、佐藤知巳、稲田勢介、波田野徹、富所 隆、吉川 明

 症例は、88歳女性。胆道再建術後も頻回に胆管炎を繰り返し、2005/10/24再度胆管炎にて入院。111/1直視内視鏡での採石中、胆道出血の後、ショック状態となり気管内挿管後CT施行。頭部は異常無しだが、右心系及び左心系にもair densityを認めた。その後VF出現し除細動を計5回施行。11/2には血管内のair densityは全て消失したが、肝表面に血腫出現。食事開始後に肝膿瘍の合併を認めたが肝膿瘍ドレナージにて、炎症は速やかに改善し、1/31退院。今症例は術後変化、頻回の胆管炎による胆管壁の脆弱化を元に、検査時の胆道内圧上昇及びカニューレにより、胆管肝静脈瘻を形成し、多量のairが肝静脈を介し、大循環系に流入したと考えられた。頭低位保持にて脳塞栓を予防し得た。胆道再建術後及び肝生検、PTCD後の患者へのERCPは、空気塞栓も合併症として念頭におく必要があると考えられた。