日本消化器内視鏡学会甲信越支部

24. 経皮経肝的に電気水圧式衝撃波砕石とバルーン乳頭拡張術を行った 総胆管結石症の1例

長野県立木曽病院 内科
小松健一、飯島章博、高橋俊晴、吉岡美香
同 外科
江口 隆、小山佳紀、久米田茂喜

 症例は80歳男性、平成17年5月に上腹部痛、発熱にて救急外来受診した。血液検査にて肝胆道系酵素の上昇、CTにて総胆管結石を認めた。既往に平成14年に胃癌で胃全摘出術、R-Y再建あり、また平成16年に胆石、胆嚢炎、総胆管結石にて胆嚢摘出術、総胆管切開、Tチューブドレナージを受けていた。総胆管結石再発、胆管炎に対して、経乳頭的アプローチ困難と考えられたため、PTCDにて胆管ドレナージを施行した。結石の除去につき再開腹手術は侵襲も大きく、困難なことも予想され、経皮経肝的に結石治療を行う方針とした。PTCD造影では大結石が拡張した総胆管内に嵌頓する形で複数個存在した。PTCDより段階的に?孔を拡張した。経皮経肝胆道鏡は?孔にアウターシースを挿入し胆管内にアプローチした。黄色のコレステロール結石が確認され、胆道鏡下に電気水圧式衝撃波砕石を施行した。大結石は良好に破砕され、破砕片の回収はバスケットカテーテルでの把持、シース越しでの体外への回収は困難であったため、乳頭部を経皮的にバルーン拡張を行い、バスケットカテーテル、バルーカテーテルにて破砕片をトルクを加え十二指腸に押し出し全ての結石除去を行い得た。現在にいたるまで結石の再発を認めていない。近年、総胆管結石はERCPの一連の手技で経乳頭的に除去が容易であり、経皮的に行なわれることは少ない。また経乳頭的処置に比較し、処置具操作の自由度が制限されてくるため、結石除去の難易度は高いと思われる。しかし本例のように経乳頭的アプローチが困難な例に遭遇することも考えられる。 さらに本例では乳頭部の狭窄を伴っており、経皮的にEPBDを施行したが、過去に同様の報告はない。本症例において結石除去に対して行った工夫と若干の考察を加えて報告する。