日本消化器内視鏡学会甲信越支部

23. Algon plasmaによる胆道金属ステント十二指腸内逸脱部の切断により開存期間の延長が認められた1例目

飯田市立病院 消化器科
海野 洋、岡庭信司、山浦高裕
同 内科
白籏久美子、中村喜行

 患者は70歳、女性。2004/1/5 初診の閉塞性黄疸で発症した進行膵頭部癌症例で放射線照射・化学療法を施行していた。2004/4/20 6cm covered Diamond stentを留置。2004/9/7(留置後約4.5ヶ月) ステントトラブルを生じステント洗浄を行った。ステントが十二指腸内に約1.0cm逸脱しておりこれがステントトラブルの原因となっていることが想像されたが洗浄後のステント交通は良好であったため経過観察とした。2005/1/10(前回ステント洗浄後4ヶ月)再びステントトラブルを認め、十二指腸内逸脱ステント約2cmをalgon plasmaで切断しステント洗浄施行。ステントは留置した胆管狭窄部からは移動していなかったためそのまま経過観察とした。以後2005/9/7 腫瘍死するまで約9ヶ月間ステントトラブルは認めなかった。
 悪性胆道狭窄に対してはcovered metallic stentが開発され従来の胆道ステントより長期の開存期間がえられるようになってきた。このようなステントの工夫にもかかわらずステントトラブルが生じることがあり、その一つはステント逸脱に関連するものである。ステント自体が留置部位(悪性胆道狭窄部)から移動する場合、腫瘍の進行で胆管の走行・長さが変化することによりステントが留置部位から移動していなくても乳頭部からステントが露出してくる場合、が考えられる。の場合はステントの入れ替えが必要と考えられるが、の場合は十二指腸内に突出した余剰部位を切除すれば問題が解決する可能性がある。Algon plasmaで逸脱部を切断することは簡便な手技でありステント抜去を行う前に一度試みてよい手技と考えられた。