日本消化器内視鏡学会甲信越支部

22. 急性閉塞性胆道炎をきたした下部胆管乳頭腺腫の1例

JA長野厚生連 富士見高原病院 消化器科
太田裕志、小松 修
同 外科
岸本 恭、塩澤秀樹、安達 亙

 症例は79 男性。胃部不快・嘔気を主訴に当院を初診。腹部エコーで胆嚢腫大・総胆管拡張を認め、また閉塞性黄疸も認め急性胆道炎の診断で入院。腹部CTでは胆石不明も総胆管膵管の軽度拡張を認め乳頭部腫瘍も疑われたがMRIでははっきりせず。SBT/CPZで加療開始し臨床像は改善。精査目的でERCP施行。胆管挿入困難も膵管内ガイドワイヤー法にて挿入、下部胆管に逆U字型の陰影欠損を認めたが可動性なく腫瘍と判断。胆汁細胞診はClassa。翌週のIDUSで下部胆管に8mm大の桑実様の乳頭状腫瘍あり。擦過細胞診はClassbも乳頭腺腫の癌化が疑われた。十分な説明後、膵頭十二指腸切除術施行。下部胆管に10mm大の隆起を認めたが、最終病理診断は、乳頭腺腫であった。本例は、乳頭状腫瘍が下部胆管に嵌頓することで惹起されたと考えられた。また閉塞性黄疸を来す隆起性病変の多くが悪性であることから、示唆に富む1例と考えられ報告する。